さつきの交配と種まき  なおの趣味の園芸 
 挿し木をした場合と違い実生から育てた苗は、親と全く同じ物はありません。親とほとんど見分けがつかないほどにているのもあれば、名札を付け間違えたのではないかと思うくらい違うのもあります。初めて花が咲くときどんな花が咲くか、わくわくするのは実生ならではの楽しみでしょう。

 

絞りの花の交配の場合は、上から2番目の赤い筋の入ったオシベの花粉を使う。全部赤いものや、白いものは避ける。

 

絞りの花の交配の場合は、この写真では分かりにくいが雌しべにも赤い筋が入っているものに受粉する。

交配

 オシベの花粉をメシベの柱頭につければ良いのですが、まず、母木の選定、母木には、自分が作り出したい花と似ているものを選ぶ。一般に母木と父木は、違う品種を選ぶが、さつきの最近の品種の場合交配が繰り返されているので、同じ品種どうしを交配しても、かなり違う花が咲きます。母木・父木とも、その品種の特色が出ている花柄を選ぶ(絞り花の場合は、雄しべや雌しべにも柄が入っている花を選ぶ)。開花当日母木のオシベを切り取り翌日メシベの柱頭に、父木のおしべの花粉をつける。交配が終わると、ラベルをつけ、他の花粉がかからないように小穴の空いた袋をかけるか、フレームなど虫のこない場所に1週間ほど置く。ラベルには、山の光(母木)に好月を交配した場合には、「山の光×好月」と書く。交配が成功していればメシベの柱頭が乾いて黒くなっている。柱頭に粘液が残っていれば、失敗です。9割以上成功しますので、2花ぼど交配していれば、充分です。管理が良ければ、1花の交配で、100粒以上の種ができ、50以上の苗ができます。交配から1週間すれば、通常の管理に戻します。種をたくさん作れば、木が弱りますので、あまり多く付けすぎないようのしましょう。種の時は、少量に見えても種をまいて1年もすれば、10センチ前後に成長します。15種類交配して約1000本の苗ができ置き場所に困ったことがあります。また、通常の盆栽に種をつけると剪定時に誤って切り落としてしまうこともあるので、交配専用に挿し芽苗を作っていると管理が楽です。

10月3日

母木は鶴翁、深山系の品種は、種が熟すのが早い

採果

11月に入ると莢がやや黄色くなってきますので、莢ごと摘み取り、交配記録を書いた紙袋等に入れ、乾燥した場所に置きます(密閉できる瓶などに、乾燥剤と一緒に入れる。カメラなどの保管に使うドライボックスがあると保存がかなり楽)。採果があまり遅くなると、莢が自然にはじけて、種がこぼれるので、遅くても12月上旬までには採果する。充分乾燥させた後、莢から種を取り出し、交配記録を書いた小袋などに入れておく。

 

 

 

4月5日播種


写真は、拡大しているが、大きさは、ゴマ粒の半分くらいしかない。樹木の種子の中ではかなり小さいほうです。

播種

3月下旬から5月下旬ごろ育苗箱や発砲スチロールの魚箱・素焼きの平鉢・プランターなどに鹿沼土を入れその上に、篩でこした水苔を敷き種を蒔く。一般に鹿沼土を入れるときは排水が良いように、ごろ土を下に入れ上部に細かい土を入れるが、鉢が浅い場合には、気にしなくても良い。水苔は、3mm程度敷けばよく、篩がなかったら鋏で短く刻む。水苔がない場合にはピート板などを利用しても良い。種を蒔く前にジョロで水を掻け、水苔を落ち着かせてから種を蒔く。種は、指で摘まんで、ばら蒔きする。種が小さいため厚蒔きにならないように注意する。普通の育苗箱で、通常2莢〜3莢分の種を蒔く。種を蒔いた後ハス口の穴が細かいジョロで水を掻ける。水をかける時、一気にかけると種が低い方に流されかたまって発芽することになるので、種が流されないように注意する。

 

 

5月10日発芽

マッチ棒と比べていかに小さいか分かる


播種後の管理

播種が終われば、直射日光や雨水が当たらない場所に置く、通常週2〜3回ほど潅水する。約1ヶ月で発芽する。(発芽まで、ビニールやガラス板で蓋をすると発芽が早くなるし、潅水も週1回ほどで良いが、時間がない人の場合は返って管理が難しくなるし、病気も出やすいので、私はあまり奨めない。)発芽後は、午前中日光が当たる場所に置くか、寒冷紗などで、30〜50%ほど遮光します。

9月の彼岸ごろから徐々に日光に当て始め、11月になれば遮光する必要はない。冬期はなるべく暖かい場所に置く。苗がまだ小さいので霜には当てないようにするが加温する必要はない。(佐賀県の平野部では、特に寒さに弱い品種を交配した場合を除いて霜よけの必要はない。)肥料は特に必要ではないが、週1回ほどハイポネックスの1000倍液を与えると丈夫に育つ。ただし多肥は禁物です。11月〜2月の間は肥料は与えない。株立ちにする場合を除いて脇芽は早いうちに取り除きます。

 

8月31日の状態

このころになると、丸葉か細葉か赤芽性か青芽性かが分かる

 

 

12月10日

この頃になると赤芽か青芽がはっきりする。

移植

通常2年目の5月中旬〜6月下旬に一回目の植替をします。(苗の間隔か充分ある場合には3年目の3月か6月でも良い)。このころになると平均的な苗で、10cm前後、生育が良い苗は20p近くになっています。普通、育苗箱や発泡スチロールの魚箱などに6〜8cm間隔に植え付けるか、ビニルポット等に植え替えます。用土は、鹿沼土か鹿沼土にぼら土を半分混ぜたものにマグアンプkを普通のプランターや育苗箱で一掴み(30g)入れよく混ぜます。マグアンプkがない場合には骨粉を入れます。実生苗の場合、なるべく早く花を咲かせないと選別ができないので、肥料は、燐酸分の多いものを与え、窒素肥料は押さえます。移植後、1ヶ月くらいしてから、1苗あたり骨粉入り発酵油粕の玉肥の小粒を1個を1回、9月に2回目与えれば、他は必要ありません。あまり多肥にすると返って開花が遅れます。夏場は、寒冷紗等で30〜50%遮光し、遮光できない場合には、建物の東側など朝日から午後1時くらいまで日光が当たる場所に置く。挿し芽苗以上に根元から脇芽が出やすいので見つけ次第とります。特に「星の輝き」と交配した苗は根元から脇芽が出やすい。また、脇芽を取り忘れて芯芽より大きくなった場合でも、脇芽を取ります。挿し芽苗の場合は、脇芽の方が大きくなった場合には脇芽を大きくしても良いのですが、実生苗の場合、必ず芯芽を残します。そうしないと2色咲きや絞りの品種が単色になってしまう場合も考えられるからです。後は、普通に管理します。3年目以降は、脇芽を摘むのを止め自然に任せます。ただ株元ら出る徒長枝は、摘み取ります。

 

 

6月14日

 

実生苗は挿木苗と違い根張りが悪いので根は、思い切って短く切りつめる(盆栽仕立てにしない場合は、あまり切る必要はない)。また、株元から脇芽が出やすいので下葉と脇芽はとる

 

 ペーパーポット移植

  

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種を蒔いて2年後の5月花が咲いた状態

 

 

 

 

 

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開花・選別

3年目(まる2年)で2〜3割。4年目では約6〜7割。5年目には特に生育が悪いもや蕾が付きにくい性質の樹を除き開花します。樹木の中では開花は早いほうです。但し、咲き分けの品種では、ある程度株が大きくならないと花柄の特徴が分からないので5年〜6年ほど育てて判断したほうが良いでしょう。特に2色咲きの品種では、苗の小さいうちは安定せず、年によって2色咲きにならない場合もあります。また、盆栽用の品種として育てる場合は、花だけでなく、葉性や枝打ちの善し悪し、紅葉の有無など総合的に判断することが大事です。

 

 

 

 

 

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