風蘭・富貴蘭 の栽培 育て方

関東以南の平野部の栽培方法です。それより寒い地域は、暖房が必要になることがあります。 
基本は風通しの良い置きます。雨には当ててもかまいませんが、長雨には当てないほうが無難です。病気の株や、子苗は雨に当てない方が無難です。
梅雨明け後の7月〜8月は、日差しが強いので、寒冷紗(ダイオネット)で60%の遮光をします。通常の寒冷紗では、通風が悪いので、市松織のダイオネットが理想的です。朝日を当てる場合にも9時には日陰になる場所に置きます。
夏場には、風蘭はほとんど生育はしません。品種によっては、8月ごろ花を咲かせるものもあります。
9月も彼岸頃になり涼しくなり始めたら、40%ほどの遮光に変えます。遮光を変えるのが無理な場合には、朝日を当てる時間を11時ごろまで伸ばします。
11月に入ると霜が降りるようになります。風蘭は、軽い霜なら問題ありませんが、奄美風蘭や洋種との交配種は、寒さに弱いので、天気予報で最低温度が10℃を切るようになったら、直接霜が当たらない軒下などに取り込みます。
 




風蘭の冬越し 12月〜3月
置き場所 軒下など
雨や直射日光が当たらない場所
暖房の入っていない室内
冬眠させるので日光は不要。

暖房のある室内
午前中は日光に当てる
またはレースカーテンで遮光
最低温度の目安 マイナス5℃ 5℃
10℃
適応した品種等 普通の風蘭 秋以降に植え替えた株
実生苗など小さな株
奄美風蘭
洋蘭との交配種
バンダなど特に寒さ弱い種と交配した品種
早く大きくしたい小苗
潅水 10日に1回ほど、天気の良い午前中に霧吹きで水をやる。水苔の表面が湿れば良い 2週間に1回ほど、軽く霧吹きで水をかける。 週に1回ほど
冬場には、苗に皺がよるが、あまり心配しなくて良い。春になって潅水を増やせば元に戻る。皺がよっているからと冬に水を多くやると根腐れするので注意する 発泡スチロールの箱などに入れて夜は蓋を閉めるのがベスト。一番無難な冬越し方法。
最高温度が10℃くらいの場所であれば、蓋を閉めたままでも良い。この場合は、乾燥しにくいので3週間に1回ほど軽く霧吹きする。
冬でも生育するので早く大きくなるが、普通の風蘭は、冬眠させないと花が咲かない場合があります。温度が10℃以下になると、根ぐされで一気に枯れることがあります。
最近は、左の写真のように衣類保管ケースに入れて冬越ししています。屋根裏部屋の暖房のない部屋で、窓から薄明りのさす状態で、3段積み重ねて置いています。
蓋をした状態で4か月放置状態で水もやりませんが、特に弱っている苗でない限り大丈夫です。
手間なしの冬越し方です。

       
     3月になると気温が急に上がります。4月に入って最低温度が10度以上になったら外に出しますが、天気予報で、雨や曇りの日が続く時が適期です。遅霜の被害も考えられるので、寒冷紗を張った場所に置きます。
建物の東側など、午前中日光が当たって、午後から日陰になる場所なら、夏場以外は、寒冷紗をはらなくても栽培できます。
品種によって遮光する具合は変わってきます。一般に斑のない品種は直射日光に強いのですが、御城覆輪など班入りの品種でも日光に強いものもあります。
斑入りの品種は、日光の当て具合で、班の入り方が変わります。一般に日に当てた方が、班は強く出ますが、当てすぎると葉焼けを起こします。特に虎班の品種は、日光が不足すると班がボケてはっきりしない品種があります。
初心者は、50%遮光のダイオネットで日陰にした場所で栽培するのが無難です。それで、班が不鮮明とか、花付が悪い場合には、朝日が直接当たる場所に置くなど日光の量を増やしていきます。
 次に風通しです。名前の通り風を好むので、風通しの良い場所に置きます。鉢を吊る金具が売られているので、金具で吊るして栽培するのが一番です。私は、ぶどう棚の下と軒下の2箇所に吊る場所を作っています。風蘭は、雨に当てても大丈夫ですが、長雨に当てるのは、あまりよくなりません。特に冬は雨に当てないようにします。真夏と冬は、軒下に移しています。
冬の管理
冬は、寒さには、やや弱いので直接霜に当てないようにしますが暖房のある室内は暖かすぎます。軒下など霜の当たらない屋外におきます。風蘭は、一時的であれば、マイナス5度くらいの低温に耐えます。低温に耐えるためには、水を切って休眠した状態にします。休眠した状態では、日光は必要ありません。日光が当たると乾燥しすぎて枯れてしまいます。休眠中でも乾燥しすぎないように、1週間に1回くらい霧吹きで水を与えます。但し、洋蘭と交配した風蘭(黄色や赤や青花の風蘭は、洋蘭と交配した物が多い)や奄美風蘭は、寒さに弱いので、室内に取り込みますが、それでもなるべく暖房が入っていない場所に置きます。交配した品種にもよりますが、洋蘭との交配した風蘭は、5度くらいの低温に耐えるので、暖房の入っていない室内でも冬を越せます。 冬場の管理が面倒な場合は、発泡スチロールの蓋のある容器に入れて蓋をして保管し、2週間に1回くらい霧吹きで水をやります。

水遣り

風蘭は、4月から6月は、生育しますが、夏場には、暑さで生育が止まり、秋になるとまた生育を始めます。春から夏の間は、私は、雨が当たる場所に置いていますので、雨が降らないときは、週に1〜2回ほど水をやります。水苔がカラカラに乾燥すると水が浸透しにくいので、水をかけたあと、30分くらいしてから2回目の水をかけると鉢の中まで水が浸透しやすくなります。できれば、週に1回は、容器に水を入れ風蘭の鉢を漬けて水苔の中まで水が完全に浸透するようにしたほうが良いでしょう。冬季には、1〜2週間に1回ほどにします。冬に葉にしわが寄ってしなびたようになりますが、春になると元に戻ります。

繁殖

 株元から芽が出て株が増えるので、株分けで増やします。時期は、3月から4月で、根が動く前が適期です。あまり小さくすると生育が悪くなるので2〜3芽で根も5本以上あるように株分けします。

植え付け

植え替え時期
植替適期は、3月ですが、根を痛めないように注意すれば、1年中いつでもできます。ただ、新根が伸びる5〜6月は植え替えないほうが無難です。秋や冬に植え替えた株は寒さに弱いので最低温度が0℃以下にならないようにします。夏場に植え替える場合には、夏場は暑さで株が弱りやすいので、70%ほど遮光した場所に置きます。9月の彼岸頃が春に次ぐに植替えの適期です。
普通、2.5〜4号鉢と小さい鉢を使います。穴の開いた鉢にミズゴケで植えつけるか、鉢の上にミズゴケを盛り上げて植えつけます。
私のやり方は他の人と少し違って、10cm×20cmくらいのダンボールをくるりと丸めて棒状にし、基に戻らないように麻糸で止めます。ダンボールを立てた状態で上の方に風蘭を根を広げて置き、周りをミズゴケで覆います。ミズゴケが取れないように細い麻紐でぐるぐる巻きにします。これを普通の鉢に植えつけると高植ができます。この方法だと私みたいに不器用な人も簡単にできると思います。
水苔に植えている場合は、原則として毎年植替えます。
水苔以外に、バーク植えたり、ヘゴやコルクに付けたりする方法もあります。
暖地であれば、庭木に付けるのも良いでしょう。

 
  ダンボールを10cm×30cmほどに切り取りくるりと丸め棒状にし、基に戻らないように麻糸や木綿糸などで止めます。 
私は、コンバイン用のジュートの紐を解いて、麻糸を作っています。
    バケツに水を入れ水苔を漬け十分に湿らせ、硬めに絞っておきます。
ダンボールの長さよりやや広めに水苔を広げます。
巻き寿司のご飯を置くのと同じ感じです。
   巻き寿司を作る要領で、ダンボールを芯にしてくるりと巻きます。
   このまま乾燥させても良いが、
  麻糸などを巻いて水苔がダンボールから離れないようにします。この状態で、乾燥させ苔台を作っておくと植替え時に楽です。
芯の部分にダンボールを使うのは、蘭とダンボールの相性が良いと言う事と、苔台が型崩れしにくいためです。
   苔台の上に風蘭の根を広げて乗せます。根が収まりにくいときは、麻糸などで、苔台に縛ります。長い水苔をタスキ掛けにしますが、長い水苔は、非常に高価です。ホームセンターに売ってある水苔の3〜5倍くらいの値段がします。安い水苔を板状にして乾燥させると根の上からかぶせやすくなります。水苔が外れないように、麻糸など巻きつけ固定します。アート水苔を使うと一見本物の水苔みたいに見えます。
 
 
 
 
   
   
   
   十分に湿った水苔を育苗箱に広げ、上から板を乗せ水分を絞り、日光に干して乾かします。
これで、クズ水苔が板状になり、風蘭
   
   
   
   麻布テープ 10cm×20m (2014年7月時点 255円)
   麻布テープを20cmの長さに切ります。
   ミズゴケを乗せます。
   段ボールを芯にして巻きます。
   麻糸を巻いて固定します。
この方法なら、くずの短いミズゴケも簡単に巻くことができるし、崩れ落ちることがありません。
   



 

1セットの内容です。

完成です。

最小パーツでの作成
胴体に取り付ける筒が何のためにあるか考えました。たぶん、ネジが緩んで上の枠が下に落ちたら、下の植物はかなり傷がつくし、上の植物も枠から放りだされます。それを防ぐために筒があると思われます。上と下をあまり離さなくて良ければ、ネジはなくても使用できるし、上のネジを溶接すれば、上の枠が落ちる危険が減ります。ネジは緩みやすいのでプライヤーなどできつく締めておきます。  
肥料

 肥料は、ミズゴケ植えの場合は、やらなくても生育します。より早く生育させるために肥料を与えますが、固形の肥料は与えにくいので、2000倍くらいの液肥を4月〜10月の間月にに2回くらい与えます。肥料の与えすぎは禁物です。初心者は、早く大きくしようと肥料をやりすぎる傾向があります。肥料のやりすぎは、根腐れのもとです。

   

 病害虫

病害虫は、少ない方です。ナメクジに花や根を食べられますのでナメクジ専用の殺虫剤で殺します。 

       


 TOPへ  園芸のトップへ  種類別