羽蝶蘭の栽培 ウチョウランの栽培

 

植え付け時期

 11月〜3月上旬

球根 細かい毛に覆われています。羽蝶蘭の球根は、グラジオラスなどの球根と違ってカラカラに乾燥させると死んでしまいます。さぎ草の球根に比べると乾燥には強いですが、湿らしたティッシュなどと一緒に冷蔵庫で保管するか、すぐに植え付けて水を10日に1回程度は、かけるようにします。暖かい室内で保管すると芽が出ることがありますので冷たいところに置いてください。
 去年植えた鉢がある場合には、鉢をさかさまにして球根を取り出します。球根の大きさは、2mm4cm程です。球根の大きさと土の粒と同じくらいなものもあるので球根を見落とさないようにしましょう。サギ草の球根と違って、親球根の根元に球根ができますので、茎が残っている場合には簡単に探せます。
管理が良ければ、23倍程度に増えています。小さい球根は今年は開花しませんが、来年開花するので大事に育てましょう。品種にもよりますが、1cm以上の大きさがあれば開花する可能性があります。取り出した球根は軽く水洗いします、できれば、この時、ベンレートかトップジンMの1000倍液に30分くらい浸してから植え付けます。球根があまりに小さいときには大きな球根と一緒に植えます。球根の片方に芽があります。上の写真では、左側に芽があります。芽を傷つけると枯れてしまいますので、芽を折らないように注意してください。

 


植付け 
用土はボラ土鹿沼土赤玉土、砂、水苔、ココピート・バーク・軽石,バーミキュライトなどで米粒大から大豆大の大きさの用土単体か、籾殻薫炭ピートモスや樹皮堆肥・バークなどと混合します。(私は、鹿沼土1 ボラ土1 バーミキュライト1 樹皮堆肥1の割合で使用しています)樹皮堆肥を使う場合には、PH6.5以下のものにします。グリーンバークは、PH7なので羽蝶蘭に使うのには適しません。用土の混合はこれでなければいけないと言う基準はありません。ミズゴケは、篩でふるって細かくします。長いままだと新芽が絡まることがあります。ココピートやミズゴケは、乾燥させると水をはじくことがあるので、水をやる時は、たっぷり2回ほどやります
素焼き鉢に植える場合には乾燥しやすいので、ミズゴケやピートモスの割合を多くし、プラ鉢や磁器の鉢の場合には、ぼら土や砂の割合を多くします。園芸店に行けば「山野草の土」というものが売られていますのでそれを買えば手っ取り早いのですが割高です。水をかけると、すーと鉢底から抜けるような用土ならどれでも良いのです。バークだけで植えている人もいます。必ず新しい用土を使って下さい。古い用土を再利用して使う場合は、よく
水洗いしてから使いますが、羽蝶蘭は、小鉢で栽培でき用土はあまりいりませんので新しい用土を買った方が早いでしょう。
 図のように底に大粒の用土をを入れ上部に細かい用土を使います。しかし、水はけの良い用土ならあまりこだわらなくてよいでしょう。球根の上下が分からない場合や、植木鉢が浅い場合には、球根を横に寝せて植えます。
羽蝶蘭の根は、球根の上部から出ますので必ず5mm1cmほど土をかけてください。ただ、深植すると病気になりやすいので注意します。また、ダンボールを2p角くらいに切ったものを用土に2割程度混ぜると生育が良くなるといわれますがダンボールを小さく切るのが意外に大変です。
球根を大きくするには植え込み時にマグアンプKやグアノを少量(普通の草花にやる場合の4分の1程度)用土に混ぜると良いでしょう。
植え替えは、毎年行うより、2年に1回くらいが一番良いみたいです。1つの鉢に数球植え付けるときは、中央にくっつけて植えた方が鉢物として見る場合バランスがとれますが増殖を目的とする場合には、3cmくらい離して植えつけます。
鉢は、羽蝶蘭や山野草用の鉢が売られていますが、素焼き鉢系は乾燥しやすいので、釉薬がかかった鉢やプラ鉢を使います。昔は、羽蝶蘭は乾燥ぎみ育てるという栽培書が多く、羽蝶蘭用の鉢は水はけが良く乾燥しやすい作りの物が多いのですが、水を頻繁にかけきれない場合には、かえって生育は良くありません。
たくさん栽培するときは、ビニルポットが便利です。鉢の大きさは、2号〜3.5号で鑑賞する場合には、あまり大きな鉢には植えません。球根が小さい場合には、1球ずつ植えるのが面倒なので、大きめの平鉢に3cmくらいの間隔で球根を植えます。

管理


植付けの時期が2月以前の場合には、霜が当たらない軒下などあまり寒くならない場所におきます。植替えをしてないものは、凍結しても平気ですが、植え替えたものは、凍結させない方が無難です。寒さが強いと霜柱で球根が浮き上がり地上に出てしまうこともあります。栽培棚の下など直接霜が当らないところに置く方が無難でしょう。雪の多い地方では雪の中に埋めて置く方が良いでしょう。
羽蝶蘭の球根はサギソウの球根に比べれば乾燥に強いいですが、地上部が枯れる冬でも球根は生きているので、極端に乾燥させないようにします。芽が出るまで、雨が降らなければ、10日に1回は水をやります。掘り上げて保存する場合には、グラジオラスの球根みたいにカラカラにかわかすのはよくありません。温度の変化の少ない暖房の入っていない場所で湿ったピートモスやバーミキュライトなどと一緒に保管します。一般の家庭なら冷蔵庫の野菜室が理想的です。湿ったティッシュで来るんで、写真のフィルムケースに入れていれるのも良いでしょう。
3月下旬になると芽が出てきますので、朝から15時くらいまで、日があたる場所に置きます。春にしっかり日光に当てないと根元から倒れやすい苗になります。花が咲くまではしっかり日光に当てましょう、水は、基本的には乾いたらやるですが、春から秋までは毎日やってかまいません。最近は、腰水をして鉢を水につけた状態で栽培するのがはやっています。これだと潅水は楽になりますが根腐れが怖くて未だ試したことがありません。過湿・多肥は根腐れの原因です。蘭科植物なので肥料はやらなくても良いですが、ハイポネックスの2000倍を2週間に1回くらいやるとしっかりと育ちます。原種は、雨に当てても大丈夫ですが、人工交配されたものは、病気に弱いものが多いので、なるべく雨には当てないようにします。
6月〜7月は羽蝶蘭が開花し1年で一番楽しいときです。開花中から寒冷紗30%くらい遮光した場所に置きます。1日中日が当る場所に置く場合には、寒冷紗50%くらい遮光します。羽蝶蘭の鉢は小さいので置き場所によっては朝夕2回潅水する必要があります。雨が当る場所に置いてあるものは、雨の当らない場所に移動します。開花中は、明るい日陰に置き花には水を掛けないようにします。種をつける場合を除き花軸ごと花を切り取ります。
9月の彼岸を過ぎると寒冷紗をはずし直射日光に当てます。11月になると葉が枯れますので、潅水を10日に1回くらいに減らします。

肥料のやりすぎは厳禁です。特に即効性の化成肥料はやらないで下さい。液肥をやる場合には、普通の草花にやる場合の24倍に薄めます。
また、環境がよければ病害虫はあまりつきません。1ヶ月に1回程度スミチオンなどの接触剤とオルトランなどの浸透性殺虫剤を混合したもの(オルチオンという名前で販売されています)を散布します。私は、羽蝶蘭には、殺菌剤はほとんど使いません。葉に黒い斑点が出た場合には、ベンレート水和剤やダイセン水和剤を散布します。が散布しなかったからといって枯れることはありません。また、茎の付け根から腐ることがありますが、いったん腐り始めると、タチガレン等の殺菌剤を散布してもあまり効果がないので、そういう株は、抜き取ります。腐る前にベンレートの2000倍液を株元に散布すと効果がありますが、私はほとんど殺菌剤を散布したことがありません。肥料のやりすぎの場合が多いので、肥料を取り去ります。

昔は、羽蝶蘭は、乾燥気味に管理し、雨に当ててはいけないと言われていました。羽蝶蘭用の鉢は素焼き鉢系の物が多くプラ鉢などに比べると乾燥しやすくなっています。ところが最近は、羽蝶蘭には水をたっぷりやるというのが主流になりつつあります。腰水栽培で水浸しで栽培する人も増えています。昔と全く逆の栽培方です。私は、腰水栽培はしたことがありません。佐賀は夏が暑いので根腐れをおこしそうでちょっと怖いのですが、一度は試してみたいと思っています。
 私も昔は、素焼き鉢や駄音鉢などで雨の当らない軒下やフレームなので栽培していましたがどうもうまく育っていませんでした。今多水栽培をしている人も雨には当ててはいけないと言う人が大半です。ところが置き場所がなく盆栽棚の片隅に置いていた羽蝶蘭の球根が丸々太っていたのです。それ以来、私は開花期以外は戸外に出し、雨に当てています。羽蝶蘭は意外に雨に強いのです。ただ、最近のバイオで育てた球根は、雨に弱いものが多いので、梅雨の長雨や強雨には、あてない方が無難です。実生の小球などを平鉢にまとめて植えている場合には開花時期でも外に出しっぱなしにします。花の数が少ないこともあり雨が降っても平気で咲いています。もちろんどしゃ降りの場合花は痛みますが・・・。羽蝶蘭は、野生蘭なのです。過保護は禁物です。不思議なことに、フレームで栽培していたときよりも、戸外で栽培している今の方が、根元から腐れて枯れる確立は少ないのです。多水だから、雨に当てるから根元から腐れるのではないのです。一つは肥料が多いからではないでしょうか。愛好家ほど早く球根を増やしたい、大きな花を咲かせたいと肥料をやりすぎる傾向にあります。薄い液肥でも乾燥すると濃くなり濃度障害の原因なります。この肥料のやり過ぎと乾燥が根元から腐る最大の原因だと思います。私が羽蝶蘭にやる肥料は、マグアンプKが主流です。マグアンプKは、夏場に急激に化学反応を起こし肥料焼けをする危険性があると言われていますが、量の問題ではないでしょうか。普通の草花の4分の1から2分の1の量です。マグアンプKの被害と思われる根やけは、ほとんどありません。

 

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