種まき                   なおの趣味の園芸
 
種を蒔くということは、楽しいことです。まず、苗を買うより経済的です。種類によって違うので単純に言えませんが、普通、200円の種を蒔くと20くらいの苗ができます。中には、一袋で100くらい苗ができるのもあります。また、園芸店などに自分の欲しい品種の苗がない場合でも、通信販売などで比較的簡単に手に入ります。また、種から育てた方が、花が咲いたときの喜びが大きいものです。ただ、トマトや唐辛子などは、発芽に高温(25度)が必要だし、本数が1〜3本くらいしか要らない場合には、苗を買った方が早いでしょう。

 
一般に春に咲く花の種子は秋に、夏から秋にかけて咲く花の種子は、春に播種します。覆土は、種の大きさの2〜3倍の土をかけます。播種後は、雨のあたらない半日陰に置きます。大きな種で潅水が十分にできる場合は直射日光があたる場所のほうが良いでしょう。用土は、肥料分の少ない、赤玉土やぼら土・鹿沼土・砂などに腐葉土やバーク堆肥をを3割ぐらい混ぜた土を使います。肥料分が多いと発芽後の生育は良いですが、苗立ち枯れ病などが出やすくなります。発芽後は、ハイポネックスなどの水肥を潅水代わりに与えると生育が良くなります。
 直蒔きと箱蒔き  栽培する場所に直接種を蒔くことを直蒔きといいます。種が大きい場合や、大根などの根菜類や菜っ葉類は、一般に直播します。直播の場合は、害虫が種を食べてしまうことがあるので種を蒔く場所に害虫がいないか注意します。害虫がいる場合には、オルトランなどで殺虫します。また、強雨が予想される場合は、新聞紙を上から掛け、雨がやんだら取ります。
野菜の種と違って草花の種は、平鉢や育苗箱、発泡スチロールの魚箱などに種を蒔き、苗がある程度大きくなったら、ポリポットなどに移植します。そしてポリポットに根が回ったら花壇に定植します。

非常に小さい種 ペチュニア・ベゴニア・カルセオラリア・トルコ桔梗などの非常に小さい種は、鉢かピート板などに蒔き覆土はせず水は底から吸わせるようにします。種が高価なものが多いので、土は良く消毒し厚蒔きにならないように注意します。用土は、ピート板を用いるのが一番無難ですが、一般の用土を用いる場合は、土壌消毒するか、最低でも、袋入りの赤玉土や鹿沼土など雑菌の少ない用土を使います。用土の上に篩でこした、ミズゴケを薄く敷いて、その上に種を蒔く場合もあります。。発芽するまでは日陰に置き、芽が出てきたら寒冷紗で50%くらい遮光した場所に置きます。種子もベンレートかトップジンM等で消毒します。
ピート板を使う場合には、過湿にならないように注意します。湿度が多いとヒョロヒョロとした苗になります。
小さい種 松葉ぼたん・ひなげし・ひなぎく・アゲラタムなどの小さい種は、価格も安いものが多く発芽もよいので、用土は赤玉土にバーク堆肥や腐葉土を3割くらい混ぜたものを用います。平鉢や育苗箱などに用土を入れ表面を平らにしてから小さい用土を1cmくらい入れます。指で5cm間隔で筋を付けます。指でつまむか、葉書などの厚紙の上に種をのせ筋に種を落としていきます。小さい種の場合圧蒔きになりやすいので種と種の間隔が1cm以上なるように少しずつ種を蒔きます。種を蒔いたら軽く土をかけます。水は、穴の小さなジョロなら上からかけても良いでしょう。高価な種子の場合は、非常に小さな種の蒔き方に準じて蒔きます。
中粒の種 パンジー・サルビア・コスモス・マリーゴールドなどの中粒の種子は、価格も安く発芽率も良いので、夏に蒔く場合を除いてあまり消毒をする必要はありませんが、新しい用土に蒔く方が病気も出にくいので、畑土ではなく、赤玉土など袋はいった用土に種を蒔いた方が無難です。一般に平鉢や育苗箱、発泡スチロールの魚箱などに筋蒔きにします。
大粒の種 金蓮花・ひまわり・朝顔・金盞花・へちまなどの大粒の種は、種一つの発芽力も確かなので1粒ずつ点蒔きにします。一般にへそ(胚)を上にして播種しますと、種子がらが子葉に付かないできれいな双葉になります。移植に弱い種類は、ペーパーポットやビニルポットに2粒ずつ蒔くと移植の手間が省けます。
移植をするのが面倒なら、花壇などに直接種をまくこともできます。
   
夏に種を播く 夏は、立ち枯れ病などがでやすいので、なるべく消毒をした用土が雑菌の少ないピート板等を使います。種を蒔く前に2週間ぐらい冷蔵庫で保管してから播種しますと発芽が良くなる場合があります。播種後は、寒冷紗で、50%くらい遮光しなるべく涼しいところに置きます。
種の殻が硬いもの 朝顔・スイートピー・アメリカ芙蓉などの種子は、種の殻が硬く水を吸いにくいので、一晩水つけて膨らまないものは、やすり等で種子の表皮に傷をつけて水を吸いやすくしてからまきます。アメリカ芙蓉やハマボウなどアオイ科の種は、コップに種を入れ、80℃くらいのお湯を入れて湯が冷えてから種を蒔くと良く発芽します。だだ、店に売ってある種は、すでに処理済みの種を売っている場合もあるので、種の袋に書いてある説明書を良く読みましょう。
早春に種を播く 保温設備がない場合には、発泡スチロールのりんご箱等を入手し、ビニルポット等を入れ播種します。それをコタツの中に入れると3日ほどで発芽するのでコタツから出し、窓辺の温かいところに置き、夜間は蓋をして保温します。
蘭の種 一般の種子には、芽になる胚と胚が芽になるまでの栄養分である胚乳からできています。しかし蘭の種には胚乳がないので、普通の用土に蒔いても発芽しません。自然界では、ラン菌共生して生育しているので、えびねなどは、親株の株もとに蒔くと比較的良く発芽します。一般にクヌドソンC培養液で無菌培養いますが手間がかかります。鷺草の播種、しかし、最近は、ダンボールを混ぜた用土に種を蒔くと、羽蝶蘭やねじ花など発芽がするということが確認されています。
   

嫌光性 

 ねぎ・けいとう・デルフィニュームなどは光がないほうが発芽しやすいといわれます。

好光性

 金魚草・プリムラ・ペチュニア・コリウス・レタス・ミツバ・セルリ・パセリ・インパチェンスなどの種子は、明るいところの方が発芽しやすいといわれるので、覆土はあまりしません。ただ、覆土をしたら発芽しないわけではありません。

 

 

 

樹木の種子の種まき

  一般に樹木の種子は、採集したらすぐに播種します(採り播きといいます)草花に比べ発芽までかなりの時間がかかり中には、1年以上かかる種類もあります。用土は、定植する用土と同じ物を使います。一般には赤玉土に腐葉土を3割混ぜた用土を使います。発芽まで長くかかりますので、播種後は日陰に置き乾燥しないように1週間に1回くらい水をかけます。冬は寒いので水をかけるのがおっくうになりがちです。一度でも乾燥させると全く芽が出ない場合もありますので注意します。覆土は、種子の大きさの3〜5倍ほどにし、草花を蒔くときよりやや多めにします。庭木などにする場合には、深めの鉢に間隔を空けて播種し苗を早く大きくします。種子が多くある場合には、畑に直播しても良いでしょう。

つつじ類

 

 さつき・深山霧島・久留米つつじなどのつつじ類は、11月ごろ種子を採取します。乾燥した場所で保存し、3月下旬〜5月下旬ごろに鹿沼土に播種します。

詳しくは、さつきの播種をご覧下さい。

果肉のある種子

桜・真弓・梔子・櫨・梅もどき・桃・柿・さんざし・山ぼうし・アメリカハナミズキ など

 

果肉のある種子の場合は、果肉に発芽抑制物質が含まれる場合が多いので、果実を水洗いし果肉をしっかり落してからすぐに播種します。発芽するのは翌年の4月ごろなので、日陰に置き、週1〜2回ほど潅水し用土を乾燥させないようにします。すぐに播種できない場合には、水洗い後、湿った砂などと一緒に袋に入れ冷蔵庫で保存します。乾燥させると極端に発芽しにくくなります。

老爺柿 この種は、樹木の種子の中でも大きい方なので管理さえ良ければ100%近く発芽します。種子の周りの果肉が取り除きにくいので丁寧に取り去ります。湿らした状態で種子を冷蔵庫で保管し3月頃播けば5月頃に発芽します。他の種子に比べ発芽するのが遅いのでご注意ください。

松類

黒松・赤松・五葉松などは、乾燥させた状態で保存し、発芽が5月中旬と他の樹木より遅いので、4月に入ってから種に付いている羽をとり、水に1晩つけ吸水させてから蒔きます。約3週間で発芽します。発芽率は比較的良い方です。

蝋梅
種子が6〜7月に熟すので、遅くとも10月までに播種します。普通の樹木と違って、種を蒔いて3週間くらいで芽が出ます。通常は落葉樹ですが、秋に芽が出た場合、暖かい地方では、葉を落とさないで冬を越します。
浜ボウ 芙蓉 葵科の植物の種は殻が硬いので、種を蒔くときに一晩水に付け種が膨らんだもののみ蒔きます。水につけても膨らまないものは80℃くらいのお湯に3分ほど漬けます。
蒔きときは八重桜の咲く頃(4月下旬)がよいでしょう。
2週間くらいで発芽します。
サルスベリ
寒さにやや弱いので、4月下旬になってから種を蒔きます。一般に八重桜の花が咲くころです。約2週間くらいで発芽します。1歳サルスベリは、生育が良いものは、8月には開花しますので、普通の草花感覚で栽培できます。
槭(もみじ)
楓(かえで)
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採取後すぐに水に1晩つけ吸水させて播種します。3月中下旬ごろ発芽します。すぐに播種できない場合には、乾燥した状態で保管し、1月末くらいまでに種を播くようにします。または、2月頃湿った砂やピートモスなどと一緒に冷蔵庫に保存し、1ヶ月後にに播種しますと管理が楽です。種子の休眠打破には、1ヶ月の低温する必要があるといわれます。乾いた状態で冷蔵庫に入れても休眠は打破されません。必ず、湿った状態で冷蔵庫に入れてください。
もみじや楓は、発芽温度が低いので冷蔵庫の中で発芽する場合があります。冷蔵庫の中には、2ヶ月以内が良いでしょう。5月に冷蔵庫に入れて6月に播種をしたことがあります。芽は出ますが、3月に播いた場合より生育は劣ります。
種子に付いている羽は、密植して蒔く場合には邪魔になるので取りますが、普通は、取らなくても問題はありません。もみじの発芽は、樹木の種子の中では簡単な方です。
けやき
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基本的にはもみじと同じですが発芽は、4月中下旬となります。盆栽にする場合には、種のとがった部分を下にして蒔くと立ち上がり曲がりが少ない苗になります。
街路樹や公園にあるケヤキにたくさんの種が付いていますがほとんど中身が入っていないので発芽しません。中身が入っている可能性は佐賀市内のケヤキでは1%未満でした。水に沈んだ種だけを播くようにします。
姫沙羅
採取後すぐに播種するか、乾燥した状態で保存し、3月上旬までに播種します。4月上旬に発芽します。

その他の雑木類

 

・そろ・小楢などは日陰に起き、採取後すぐに播種します。週1〜2回ほど潅水し用土を乾燥させないようにします。3月下旬ごろ発芽します。発芽率は比較的良いものです。採取後、すぐに播種できない場合には、2月〜3月上旬に播種します。基本的には、もみじの種蒔きと同じです。

 ドングリ類
クヌギ・マテバシイ・コナラ・スダシイなど
 ドングリの種は、乾燥に弱いので入手したらすぐに種を蒔きます。すぐに種を蒔けない場合には、湿った砂など一緒に容器に入れ、冷蔵庫で保管します。マテバシイなどは、9月に入れば実が熟して木から落ちますので、なるべく早く拾って種を蒔くようにします。種のとがった部分から芽が出るので、ポリポットなどに蒔く場合には、種を横に寝かせ、種のとがった部分がポットの中央部に来るようにし種を蒔きます。覆土は、種の直径の3倍くらいにします。クヌギは1週間ぐらいで発根し、3月の終わり頃には、芽が出てきますが、マテバシイは、5月頃にならないと発芽しません。

 つる梅もどき・土佐水木

種子は春になってから種を蒔きます。 発芽率は比較的良いものです

Q:さつきの好月の種を蒔くと好月の花が咲くのでしょうか?
A: 好月同士を交配しても好月の花は咲きません。好月と非常に似た花はたくさん咲きますが、好月とまったく同じという花はまず咲きません。それはさつきの花が色々交配され多様な遺伝子を持っているからです。 一般に種を蒔く草花や野菜は、自家受粉を何代も繰り返し形容の違う苗を排除し、種を蒔けば同じ花が咲くように品種固定させます。しかし、樹木の場合は、交配して良い品種ができれば、挿し木や接木で増やすので品種を固定さてなくても同じものを大量に増やすことができます。樹木の品種物の種子を蒔いた場合、親木と非常に似たものは多く出ますが、全く同じのはでません。全く違う形容のものができる場合もあります。

 

雄木と雌木があるもの 雌雄異株といいます。

梅もどき 蔓うめもどき 老爺柿などがあります。

   
種を播いて何年すれば花が咲くか
同じ樹種でも、品種によって違います。名前に一才と付くのは、普通の品種より花が早く咲きます。
1〜2年 一才サルスベリ 白山吹 
3〜4年 ツツジ・さつき類 くちなし サンザシ 椿 桃 栗 蔓うめもどき 
5〜10年 杜仲 レモン 木瓜 老爺柿 枇杷 
10年以上 藤 りんご 梅 かりん

 

 

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一般に育苗箱や平鉢などを用意し、底にごろ土を入れます。排水の良い用土を使う場合には、ごろ土を入れなくてもあまり問題はありません。用土は、畑土でも良いのですが、害虫に種子を食べられ危険性もあるので、できれば、赤玉土に腐葉土を3割程度混ぜた用土を使用してください
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用土に筋をつけ種を蒔き、土をかけます。小さな種は厚蒔きにならないように注意します。花の品種名が分かるようにラベルをつけます。
小さな種を蒔く場合には、用土も小さい用土を使います。
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蒔いた後は、水をたっぷり掛け、半日陰におきます。

なるべく、強い雨には当てないようにします。
樹木の種子の場合、発芽まで時間がかかるので、小鳥に種を食べられることがあるので注意が必要です。
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種蒔き1年後の苗の状態
左から、美男かずら・かまつか・土佐ミズキです。タバコの箱がある位置にはつる梅もどきを植えていましたが、あまりにも密植していましたので植え替えました。

発芽した唐かえで、5月3日撮影
 
     

 

ペーパーポット

paperpot.jpg (12622 バイト) 種を蒔いた後の移植が面倒な場合には、ペーパーポットに直接種を蒔きます。大きな種は一粒づつ、小さな種なら2〜3粒ほど蒔きます。  
   

 

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