皐月の育て方                                                              なおの趣味の園芸

置き場所

花が咲いている場合は、雨のあたらない明るい日陰におくと花が長持します。室内に長く置くと木が弱るので1週間ぐらいで外に出します。地植の場合は、1日中日光があたる場所でも平気ですが、小品盆栽や晃山系深山系は暑さにやや弱い品種が多いので7月から9月は寒冷紗等で30%ほど遮光するか、朝日から5時間くらいに日光がが当たり,午後から日陰になる場所に置いた方が管理がしやすいものです。日陰にも比較的強く3時間ぐらい日光が当たれば花が咲きますが、良い花を咲かせるには、5時間以上日光があたる場所がよいでしょう。
また、地面に直接置かず、地上から60cm〜80cm位の高さに棚を作り置いた方が管理も楽だし、通気性も良くなるので病気も減り生育がよくなります。

 潅水

 皐月は、水を好む植物です。水は、乾いたらやるが原則ですが、大体の目安として、開花期と7月の梅雨明けから9月は1日に2回。後は、冬を除いて1日1回です。冬場は、3〜4日に1回。小品盆栽や、鉢に対して木が大きい場合には、夏場は1日3回潅水するか、寒冷紗で遮光するか、建物の東側など、午後から日陰になるところに置かないと水切れします。夏場には、朝、潅水した後は、夕方ではなく午後3時ごろに潅水します。サラリーマンの場合には、午後3時ごろ潅水するのは難しいので、自動潅水装置を付けることをおすすめします。また、夏場以上に、水切れに注意しなくては行けないのは冬です。寒さで水をかけるのがおっくうになり、夏場より潅水に注意しなくてはいけません。また、開花期を除き、頭からジョロなどでたっぷりかけます。開花期は、花に水がかからないように、株元にかけます。
また、地植の場合でもさつきの根は細かい根が横に張る性質なので1週間雨が降らない場合には水をかけないと枯れることがあります。
さつきの栽培は、他の植物より大目に水をやることがコツです。

 摘蕾

 4月になりさつきの開花が近づいてきたら木に蕾が多くついている場合は蕾を取ります。蕾の間隔は、花が開いたとき、花びらがやや触れ合うぐらいにし、日光など小輪種で3cm前後、寿光など中輪種で、5cm前後、大輪種で7cm前後の間隔になるように間引きます。蕾を間引くことにより、花が充実し、良い花がさきます。また、木の負担も軽くなり、来年の花も良くなります。

購入後の管理 通常、花が咲いた時期に、ビニルポットに植わった。500円〜2000円位の苗を購入する場合が多いと思います。花が終わるまで、明るい日陰に置き、花が終わったら、剪定をして、ビニルポットより一回り大きい駄音鉢の平鉢に植え替えます。皐月の根は、横に張る性質があるので、あまり深い鉢には植えません。根鉢の3分の1位を取去り周囲を軽くほぐします。根を切る量が多い場合には、枝を剪定して葉の量を減らします。根を半分にしたら葉の量も半分にします。
駄音鉢がなければ、プラスチックの鉢でもかまいもせんが、素焼き鉢は、水はけが良すぎるのでさつきには向きません。素焼き鉢を使う場合は、潅水回数を多くするか、日光に当てる時間を短くしたほうが良いでしょう。潅水がうまく出来ない場合は、平鉢より、深めの鉢の方が管理が楽です。
また、地植の場合には、穴を大きめに掘り鹿沼土を入れ苗木を植え付けます。畑土などに植えられた苗の場合には、ピートモスを植土の3割ほどいれよく混ぜてから植え付けます。植え付けた後は、水をたっぷり与え、9月までは、3日〜5日に1回くらい水をかけます。

 

 

花後の手入れ  通常、花が終わったらすぐに剪定をします。遅くても、6月末までに剪定をしないと来年の花がつかない場合があります。また、木が衰弱している等で剪定を見合わせる場合でも、花がらは、種をつける場合を除き、確実に取ります。見苦しいだけでなく、ボトチリス病なとの原因にもなります。花がらは、花びらだけでなく花の元から取り結実させないようにします。
剪定 通常、さつきは、枝の先端に、5本から10本ほどの新芽をつけます。これを、2本残し摘み取りします。その2本の新芽の元から2枚の葉を残し剪定します。これを「2芽2葉残し」と言ってさつきの剪定の基本です。ただ、この剪定を繰り返すと、枝がどんどん外側に広がり、見苦しくなります。そこで、2年に1回くらいは、2年前に伸びた枝まで切り戻します。普通のさつきなら必ず芽が吹きますし、古枝からの芽吹きも期待できます。。ただ、樹勢が弱っているさつきにはしてはいけません。枝枯れの原因になります。葉が1枚もない状態になりますので、新芽が吹くまで、(2週間〜3週間)日陰に置きます。
また、咲き分けの品種の場合には、絞りの花が咲く枝を残すようにして、赤花の枝はなるべく切り落とします。品種にもよりますが、皐月は、赤い花が白い花より強い傾向にあり放ておくと赤花ばかりになってしまうことがあります。

去年伸びた枝まで剪定をして、約1ヶ月後、枝から芽が吹いた状態。芽のふき具合を見てさらに短く切り詰める。

 

 

 

植替え 樹齢10年未満の若木で1〜2年に1回、成木で2年〜3年に1回を目安に植え替えをします。植替え時期は、2月下旬から3月上旬または、花が終わり、剪定をした直後の5月下旬〜6月中旬です。

用土は、通常、鹿沼土を使いますが、私は、鹿沼土にボラ土を半分混ぜた用土を使っています。理由は、佐賀県ではボラ土は価格が安いからです。佐賀県では、店にもよりますが、鹿沼土の半額で売っている店もあります。栃木県か来る鹿沼土は運賃が高くつきます。ボラ土は宮崎県で取れるので価格が安いのです。次に粒か崩れにくく安定しているからです。ボラ土は固過ぎて鹿沼土よりは、さつきの栽培には適しませんが、用土の半分くらいまでなら問題なく生育します。
若木などを早く大きくしたい場合、ピートモスを2割くらい混ぜる場合もあります。成木には2割くらい山苔を混ぜると良いと書いた書物もありますが、山苔は高価であり、効果も今ひとつはっきりしないので、私は薦めません。お金がある人は使ってもいいでしょう。
鉢は、素焼き鉢は、乾燥しすぎるのでさつきには向きません。普通、駄音鉢の平鉢に植えます。平鉢に植えるのは、さつきの根が横に張る性質があるからです。

まず、包丁などで、鉢の周囲3分の1、鉢の底3分の1を切り取ります。若木の場合は、このまま、植え付けて良いのですが、何回もこのような植え替えをしていると、用土の中心部が硬くなり水が通らなくなりますので、5年に1回位は根元まで用土をほぐし土を全部入れ替えた方が良いでしょう。さつきの場合は、全部土を落としても他の樹種にくらべ樹勢が落ちにくいので、毎回、土を全部落としている人もいます。土を全部落とす場合には、最初の年の樹勢は、土を半分落とした場合より悪いですが、後は生育が良くなります。土を全部落とす場合には、バケツなどに水を入れ根を洗います。水が濁らなくなったら、メネデールの100倍液に1時間くらい漬けてから鉢に植えると回復が早くなります。植えるときは、根と根の隙間に土が入るように箸などで用土をつつきながら根の間に用土を入れます。軽く触って根元がぐらつく場合には、土の入れ込みが不十分です。挿木5年以下の苗木の場合には、土は全部落とさず、根さばきで軽く根の方向を整理し、逆根や長く伸びた根などを切取る方が無難です。

6月に植え替える場合で、枝の剪定をしない場合は、根を切らず、根蜂の鉢の周囲を軽くほぐし、一回り大きな鉢に植え替えます。根を切る場合は、必ず、枝の剪定をし水分の蒸散を抑えなければいけません。3月に植え替える場合は、枝の剪定をしません。この時期に剪定をすると、花が咲きませんので、枝を透かすとか飛び出た枝を剪定する程度にとどめます。花をあきらめ枝つくりに専念するのであれば、3月は、剪定の適期で、太枝の剪定などは3月がむいています。次の植え替え時期は、9月下旬〜10月中旬ですがこの時期はまだ暑いので植え替えた後は、日陰で管理します。春の植え替えと違って用土はあまり落とさないようにします。植え替え後は、日陰に置き、1週間くらいかけて段段に日光に当てるのが理想ですが、剪定がしっかり出来ていれば、通常の棚においてもかまいません。

肥料 肥料は、油粕に、骨粉を2割くらい混ぜた玉肥を、3月・6月・9月の3回与えます。量は5号(15cm)鉢で3個、後は1号大きくなる毎に1個増やします。玉肥は、1週間後くらいから聞き始め、大粒(直径2.5cmくらい)で1ヶ月〜1.5ヶ月くらい効きます。、液肥は、すぐに効くが、すぐに効果がなくなります。液肥だけの場合は1週間に1回くらい潅水をかねてやります。秋遅くまで肥料をやると皮離れを起こす場合もあります。液肥は、開花時に元気がないときや晩秋にあたえると良いでしょう。ただ開花期に肥料をやると花腐れの原因にもなるので、あまり多くやってはいけません。また、植替えをしたものは、植替え後、1ヶ月は肥料をやってはいけません。また、6月に強い剪定をした場合には、葉が伸びるまで肥料を取り除きます。
防寒 さつきは、アザレアの血が入っているものなど寒さに弱い品種があります。また、秋に植え替えたもの、針金をかけたものなども、防寒をします。通常は、軒下に入れて、直接霜に当てないくらいで十分です。加温された室内に入れると、返って木が弱ったり、開花が不ぞろいになったりします。皐月の開花には、低温期が必要です。(春化
病害虫 皐月は、樹木の中では病害虫が少ないほうです。主な害虫は、葉の裏につく軍配虫と新芽を食べる芯食い虫です。スミチオンをかけるとすぐ死にます。健康な木であれば、軍配虫がついても枯れることはありません。4月〜10月まで月1回ほどスミチオンやDDVPなどの接触剤とオルトランやアクリテックなどの浸透性殺虫剤を混ぜて散布します。オルトランとスミチオンを混合したオルチオンと言う薬剤が販売されていますので、それが便利でしょう。そして、冬に石灰硫黄合剤を1〜2回散布します。私は皐月には石灰硫黄合剤を年に1回散布する以外殺菌剤は普段使いません。病気には薬より環境が大事です。株間を十分にとり風通しが良く適度に日光が当たる場所に置けば病気はほとんど出ません。なお、病気の葉が出た場合には早めに摘み取ってください。
幹洗い 幹に汚れが多いと病気の元になります。古い歯ブラシで幹をこすって汚れを落としてください。あまり強くこすると、幹をいためるので強くこすってはいけません。このとき石灰硫黄合剤の100倍液を使うとよいでしょう。本当は毎年冬にできればいいのですが、私は忙しくて、3年に1回もしていません。なお,この作業は樹齢10年以上たった木にし、苗木にはしない方が良いでしょう。

 

年間の作業

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
    植替 芽摘 摘蕾 植替・剪定     飛枝の剪定      
    肥料       花後肥料     肥料        
幹洗い   針金掛け     針金掛け       針金掛け  
寒さに弱い品種は軒下に入れる     台風に注意      
皮ばなれに注意      
     

 

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